ブレイク・ライブリーが履いた超高額ジーンズ
女優ブレイク・ライブリーが今夏、最新映画「It Ends with Us」の上映会で着用した約200万円のデザイナージーンズが、メディアで取り上げられ、大きな話題を呼びました。太ももからかかとまで切り抜かれたデザインとハイビスカスの刺繍が施されたこのジーンズは、イタリアのファッションハウス、ヴァレンティノによるもの。シンプルな白いタンクトップ、クリスチャン・ルブタンのヒール、フープピアス、そしてライブリーのトレードマークである長い巻き髪でスタイリングされていました。
もちろん、SNS上での驚きの声は想定内でしたが、この一件は「ジーンズにいくらまで出せるか」という合理的な問いを投げかけました。どこまでが妥当なのでしょうか？
ジーンズの価格帯：選択肢は無限大
ファッション小売サイトのNet-a-PorterやSsenseでは、最も高額なジーンズでも約30万円が上限で、ジャン・ポール・ゴルチエ、ドルチェ＆ガッバーナ、ラルフ・ローレンなどのブランドが含まれています。一方、ヴァレンティノの公式サイトでは、次に高いジーンズが約30万円（以前は約50万円）で販売されています。いずれにせよ、多くの人にとっては非常に高額です。
より手頃な選択肢も市場には豊富に存在し、クラシックな1万円のリーバイスから、持続可能性や循環型の特徴を強調するMUD JeansやELV Denimなどの新興デニムブランドがあり、このカテゴリーのジーンズは概ね2万円から5万円の価格帯です。
何を基準にジーンズを選ぶべきか？
これほど多様な価格帯と選択肢がある中で、本当に自分に合ったジーンズをどう選べばいいのでしょうか？また、支払う金額に見合った価値は得られているのでしょうか？
購入時のポイント
新しいジーンズを購入する際には、スタイルやデニムの色調など、価格以外にも多くの考慮すべき点があります。
スタイリストのベッキー・マリンスキーによれば、ジーンズを何に使うかを最初に考えるべきだといいます。「仕事用なのか、子供と遊ぶためなのか、それともディナーに行くためなのか」と、彼女は電話インタビューで述べています。
Googleで検索すると、圧倒されるほどのブランドやスタイルが表示されますが、マリンスキーは「特に注目すべきデニムブランド」をいくつか挙げています。彼女はまず、「シェイプ、シルエット、カラーを確認して、自分の体型に合うトレンドを探ることが大切」と述べています。
彼女は「シチズンズ・オブ・ヒューマニティは、ファッション性とフィット感の面で非常に優れていると思います。クラシックなリーバイスもよく履いていて、クライアントにもよく勧めています。価格も手頃だと思います。また、デザイナーが何をしているかを見るのも好きです。The Rowはデニムで非常に活発に活動しています」と語りました。
購入時には、試着だけでなく、立ったり、歩いたり、座ったりして快適さを確認することが重要です。特に頻繁に履く場合は、快適さが鍵となります。
スタイルと快適さのバランスを考える
マリンスキーは、スタイルと快適さのバランスを理解することも強調しています。一般的に、ストレッチが多いほど快適さは増しますが、ストレッチが多すぎるとシルエットが崩れやすくなります。
「ジーンズに少しだけストレッチが欲しい人には、ストレートレッグや少し幅広のスタイルを探すことを勧めます。これにより、ウエストの快適さが得られますが、レギンスのように伸びてしまうことはありません。」
自分に合ったサイズを見つける
また、サイズを大きめに選び、自分の体型に合わせてジーンズをカスタマイズすることも検討すると良いでしょう。背が高くスリムな人、背が低くカーブのある人、どちらでも、良い仕立て屋を見つけることで、洋服のフィット感が劇的に変わることがあります。
デニムの品質を判断する方法
デニムの品質を判断する際には、「手触り」が非常に重要だとマリンスキーは言います。「あまりにも柔らかすぎるものは、Tシャツのように感じてしまい、長持ちしません。手に少し抵抗感があるものを選ぶのが良いでしょう。」
男性向けのジーンズを選ぶ場合、マリンスキーは「フェイクウォーン」の外観を避け、クリーンでクラシックなカットのダークウォッシュを推奨しています。彼女は、メンズウェアカテゴリーではSid Marshallが素晴らしい選択肢だと指摘しています。
持続可能で普遍的なスタイルを選ぶ
持続可能で普遍的なスタイルを選ぶためには、極端なスタイリング（超スキニーや超ワイドレッグ、リップ加工や装飾）を避けるのが賢明です。ミドルからハイライズのストレートまたはややテーパードのレッグ、ミドルまたはやや暗めのウォッシュのジーンズは、常にスタイルを保ち続けます。
少し高価なジーンズを買う価値
初めてのアパートの頭金を犠牲にしてまでジーンズを買う必要はないかもしれませんが、少し高価なものを購入する理由はあります。
「ジーンズを作るには多くのリソースと多くの手が必要です」と、サステナブルファッションサイト「Good on You」の共同創設者であるサンドラ・カッポーニは言います。「ですから、非常に安価なジーンズを購入すると、誰かがその代償を支払っているのです。」
「そして、使用回数あたりのコストを考慮すると、何度も着用する高品質のアイテムに最初に投資することが、財布にも地球にも最善の選択であることが多いです」と彼女は付け加えました。
Good on Youのウェブサイトでは、価格や倫理的な基準に基づいて分類されたブランドのディレクトリが掲載されています。現在、同サイトには「Great（優れた）」と評価される21のデニムブランドが紹介されています。
最適なジーンズの価格帯
「デニムの価格帯は驚くべきものです」と、デニム業界の監視団体「Transformers Foundation」のスポークスパーソンであるアニ・ウェルズは言います。「2,000円で手に入るジーンズもあれば、200万円のジーンズもあります。20,000円のジーンズを見ている場合、そのジーンズに関わった労働者が基準を満たしているかどうかを想像することができます。さらに、その価格で得られる素材もはるかに安価なものです。」
ウェルズは、1万5千円から5万円がジーンズにおける「スイートスポット」だと考えています。「持続可能なブランドが、約2万円から4万円で本当に良いジーンズを生産していると思います。しかし、5万円を超えると、ブランドの名前にお金を払っていることが多いです。」
マリンスキーもこの評価に概ね同意し、非常に安価なジーンズがどのように作られているかについて警告しています。
自分へのご褒美としてのブランドジーンズ
消費者として、好きなブランドにお金を払うのは良いことですか？もちろんです。お金に余裕があるなら、ラグジュアリージーンズやライブリーが履いたヴァレンティノのジーンズを自分へのご褒美として購入しても良いでしょう（ただし、オンラインではすでに一部サイズが売り切れています）。
「デザイナージーンズの価格に価値があると思う人もいます。それを頻繁に履くなら、それがスタイルの基盤になるからです」とマリンスキーは言います。
結局のところ、完璧なジーンズに値段をつけることはできません。週に何度も履いて、常に気分が良くなるジーンズを見つけることが大切です。ですから、慎重にショッピングをし、1万円以下の価格には疑問を持ち、全て試着し、他の人がいくら使っているかを気にせず、自分に合ったものを選びましょう。
それでも、200万円のジーンズに驚きを隠せないなら、思い出してください。昨年、カート・コバーンが履いたボロボロのリーバイスが、4,000万円以上で売れたことを。